J.V.OはHACCPシステムを調査・研究し、畜産物に関わる業界関係者へ導入を奨めています。
“FSIS性能基準”での大腸菌検査結果の評価について限界範囲の下限と上限を何故設定するようにしたかが知りたい。
下限または上限の基準値一本で評価しないのは何故か。
また、m〜Mの許容される最大数がどのように算出されるのかが気になりました。
USDA/FSISは、食肉産業へのHACCPの導入に伴い、食肉処理場への日常の大腸菌(E. coli)検査を義務付けるとともに、食肉処理場およびひき肉製造施設に対するサルモネラの規格を設定しました。
大腸菌検査は、その施設の作業方法が、家畜の糞便および腸の内容物による汚染とそれによる微生物汚染を排除するために適切であるかどうかを判断するためのもので、処理数に応じた頻度、サンプリングの部位・方法などとともに、と体表面に存在する菌数の基準として下限と上限(牛でポジティブ〜100cfu/cm2、豚では10cfu/ cm2〜10,000cfu/ cm2)を定め、この範囲にあるサンプルが、直前の13回のテストにおいて3回を超えて見られるようであれば、その施設のHACCPプランを見直すこととしています。なお、大腸菌テストは通常、牛で300と体、豚では1,000と体につき1サンプルの頻度で行うこととされており、上限を超えた大腸菌が検出されたときには、HACCPプランに従い、即座にラインを停止して原因の究明を行い、再発防止策を講じます。
サルモネラ検査は、HACCP実施を含む病原菌低減化プログラムの実質的指標ともいうべき、病原菌減少を目的として検査成績を把握するために行なわれます。肉の種類ごとに年間の検体数と、許容される陽性検体の数が定められています。
なお、許容される陽性検体の数は、「ベースライン・データ」をもとに決定された成績規格をサンプル数に乗じた値に、0.8を乗じて算出されています。サルモネラの検出割合が陽性検体の許容範囲を下回っていれば、HACCPが効果をあげたものとして評価されるわけです。逆にサルモネラが検出されるサンプル数が許容範囲を超えていれば、HACCPプランになにか問題があるとして、FSISは指導を行います。
なお、検体採取のタイミングは、前回の検査結果や、施設のHACCPプランや記録など他の情報を勘案して決定されます。
このように、E. coli検査とサルモネラ検査については下記のように、実際の施設においてHACCPプランが適正に機能しているかを評価するために行われており、上限と下限の設定はHACCPで例えるなら、運用基準(operating limit)と許容限界(critical limit)の考え方ということになります。
管理No.3
用語の定義についてですが「と畜=と畜場」「食肉処理施設=カット工場」でよいのでしょうか?
あるいは、「と畜・食肉処理場=と畜」でしょうか?
「と畜」は家畜をと殺する行為のことで、「と畜する場所」をと畜場と言います。
食肉処理とは枝肉から脱骨して部分肉に分割する行為ですが、食肉処理施設はカット工場を含み、保管、包装、出荷することも全て含んだ食肉処理施設で、食肉処理業の許可を受けた施設のことを言います。
日本では企業が経営すると畜場や対米施設のと畜場が食肉処理施設を併設していることがあります。
管理No.11
e-ラーニングを受講することで何か資格が得られるのでしょうか?
現在農林水産省の補助事業として開講しているe?ラーニングには共通講座と畜種別講座の二つの講座があり、それらの講座を受講された方には修了証を発行していますが、取得できる資格はありません。
しかし、共通講座、畜種別講座とも高いレベルの知識習得を目標とするもので、その終了証はHACCPシステム手順1に示されているHACCPチームの編成でチーム・リーダに求められるレベルの知識を修得できるものです。
なお、資格制度についてはHACCPの義務化に伴って顕在化するニーズを分析するなど、現在JVOで資格制度について検討しているところです。
管理No.14C
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