HACCPでは、畜舎や鶏舎の立地や建物・施設、素蓄・雛、餌・水・敷料など、環境や施設の状況、飼育にかかわる原材料、家畜の取り扱い、運搬や、と蓄場・流通へ出荷する際に必要となる適切な情報、従事者の衛生や教育・訓練といった、畜産物の生産に関わるすべての要素−これを専門的には「家畜衛生に係る管理項目8要件」といいますが−について、人の健康にとって危害となるような問題が生じることがないかどうかを分析します。
そして、問題となるようなことがあれば、それを未然に防ぐ方法を検討し、決められた方法が科学的にみて適切であるかどうかを検証して、農場の飼養衛生管理を確立します。
畜産物は生き物によって生産されるので、畜産物の安全性は、云うまでもなく、家畜の健康とも密接に関連します。ですから、危害となるような問題が生じないかどうかの分析では、人にとっての危害ばかりでなく、家畜の健康にとっての危害も重要なファクターとして分析します。
農場は、丘の上にある農場、平地にある農場などと立地が違います。畜舎や鶏舎のある環境や条件も違います。原料も従事する人も同じではありません。
農場は農場ごとに個性があり、一律ではありません。
ですから、コレとコレとコレと・・・・・・とを守ることと、一律に決めても、大部分はそれで安全な畜産物を生産する条件は満たされるとしても、農場固有の危害はカヴァーできるとは限りません。
「家畜衛生に係る管理項目8要件」を基に、正しく危害となるような問題が生じないかどうかを分析することによって、その農場独自の漏れのない飼養衛生管理が確立する訳です。
農場では自力によって、あるいは専門家のコンサルテーションを受けて、農場独自の衛生管理を確立します。
しかし、独自の飼養衛生管理を確立したというだけでは安心、安全が確保されたということにはなりません。確立した衛生管理が適切で、それがキチンと運用されているかどうかが検証されなければ、安心、安全が確保されるということにはなりません。
HACCPでは、二つの側面から検証を行います。
一つは、確立した衛生管理が12手順7原則(HACPシステムについて)に従って正しく作り上げられており、かつ科学的に妥当なものであるかどうかを検証します。
もう一つは、確立した衛生管理が決められた通りに確実に実行されたかどうかを、記録や現場検証によって検証します。
そして、飼養衛生管理が期待通りの効果をあげているかどうか、改善する必要のあるところがないかどうかを判定して、必要がある場合には、適切に改善をしているかどうかを検証することを求めていま
す。
検証は、まず農場自らが、飼養衛生管理が決められ通りに実行されているか、改善する必要なところはないか、必要な改善は適切に行っているかどうを継続的に確認することです。これは内部検証といいます。
内部検証は、農場のスタッフが行ってもよいし、外部の専門家の力を借りて行うこともできます。
内部検証は、HACCPに欠くことのできない重要な活動ですが、消費者や流通業者などに「この農場で生産された畜産物は、HACCPに基づいた衛生管理を実行して生産した安全で安心な蓄産物である」ことを認知してもらうためには、利害関係の無い第三者による客観的な検証−外部検証といわれます−が求められます。
農林水産省は平成21年8月に、HACCPに基づいた衛生管理を実施している農場を認証する基準として、「家畜農場における飼養衛生管理向上の取組認証基準(農場HACCP認証基準)」を公表しましたが、今後、わが国での第三者による外部検証はこの「農場HACCP認証基準」に準拠して行われることになると考えられます。。
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