J.V.OはHACCPシステムを調査・研究し、畜産物に関わる業界関係者へ導入を奨めています。
〜危害要因分析とCCP決定に関わる書式の作成手順〜(要約)
日本HACCPトレーニングセンター
(月刊HACCP2009年8月号より)
日本HACCPトレーニングセンターが2009年6月23日に開催した「HACCPブラッシュアップワークショップ」において、同センターの浦上弘理事長が解説した「HACCP計画作成のための書式(いわゆる「書式A」「書式B」「書式C」)の記入方法」の概要を月刊HACCP編集部がまとめたものである。
HACCP計画に至る3つの書式
全米製造業協会(GMR:Grocery Manufacturers Association)では、HACCPの7原則に従って3種類の書式を作成することで、HACCP計画を作成する教授法を採用している。この教授法では、HACCPの7原則に従って、書式A、書式B、書式Cを作成する。
■書式A
原材料/プロセスのステップ | 起き得る危害要因: このステップで入り込むか、コントロールされるか、増大するか |
この起き得る危害要因はHACCPで扱うう必要があるか (Yes/No) |
なぜか?(前の欄の決定をした理由) | HACCP計画において、危害要因の予防、排除、減少にどのようなコントロールの手段をとるのか | このステップはCCPか |
■書式B
プロセスのステップ |
許容限界 | 何を | どのように | 頻度 | 誰が | 是正措置 |
■書式C
検証作業 |
何を |
頻度 |
誰が |
Validation(バリデーション、科学的証明) |
記録(モニタリング、検証、是正措置、バリデーション) |
HACCP7原則の前に行う「5手順」
書式Aを作成する前にHACCPの準備段階と位置付けられる「5手順」を行っておかなければならない。5手順とは「手順1.HACCPチームを編成する」「手順2.食品を説明し、その流通を記述する」「手順3.食品の意図する使用法を説明し、対象とする消費者を明記する」「手順4.食品の製造・加工のプロセスを説明するフローダイアグラムを作成する」「手順5.作成す他フローダイアグラムを現場で検証する」という5つの作業である。
危害要因分析を行う時には、必ずフローダイアグラムを使用する。また、食品の説明・記述・意図する使用法と消費者の明記などが正しく行われていなければ「この危害要因は、HACCP計画で取り扱う必要があるのか?」「この危害要因をコントロールする手段は何か?」といったことを、正しく判断することができなくなる。
危害要因分析は次の3段階で行う。
(1) フローダイアグラムのそれぞれのステップについて危害要因を列挙する。
(2) 列挙した危害要因の重大さを評価する。
(3) 危害をコントロールする方法を考える
CCP決定の考え方として、次の事項が挙げられている。
(1) CCPの定義〜HACCPでは品質を考慮しない。
(2) CCPは科学的な根拠に基づいて決定する。
(3) HACCPで取り扱う危害要因には必ずCCPを設ける。
(4) CCPの数は少ない方がよい
この論文(記事)では、危害要因分析の3段階、CCP決定の考え方のそれぞれについて分かりやすく説明されており、さらに書式A〜Cの具体的な記入例が示されていて、HACCP計画を作成する上で大変有用である。
また、HACCPで取り扱う危害要因であるかどうかは、危害の重大さで判断するのであるが、その際、有効な資料の一つとなるのは「実際の食中毒に関する疫学調査に基づくデータ」である。この論文には、危害要因分析において活用できる資料として、米国における食中毒の疫学調査のデータ(J. Food Protection Vol.57,820-830,1993)が追記されている。
(全文およびHACCPマスターシートは月刊HACCP8月号 Vol.15 ,46-57,2009を参照されたい)
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