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今後展開される家畜の生産段階におけるHACCP検証ワークショップの概観

NPO法人日本食品安全検証機構 作業部会委員
古谷陽子
(月刊HACCP8月号より抜粋)

(前文省略)
家畜の衛生管理ガイドラインおよび家畜の認証基準を基本にした生産段階のHACCP事業の概観

(省略)
家畜の生産段階におけるHACCPと認証基準について

(省略)
生産段階におけるHACCP検証のポイント
農場段階が対象となるHACCPの第三者認証としては、ISO22000やSQF(Safe Quality Food)などが知られているが、いずれの認証の仕組みであっても認証を受ける側が「内部検証」を行うことが求められる。効果的な内部検証を行うことが、効果的なHACCPシステムの運用には欠かせない(内部検証は通常、年2回以上の頻度で行うとよい)。
内部検証を行うメリットとしては、

@HACCPシステムの運用状況の確認ができる
AHACCPシステムの効果確認ができる(HACCPが農場にとって役立っているかどうかが評価できる)
B経営者がシステムを評価するための情報として利用できる

といったことが挙げられる。内部検証は「HACCPシステムを支える大黒柱」であり、同時に「農場にとって動くシステムにする大黒柱」である。
内部検証を行う者については、人材が豊富な大規模農家であれば複数名の内部検証員を養成することもできるであろう。しかし、中小規模農家の場合は、獣医師などの関係業者の方々にも内部検証員となってもらい、一緒になって取り組んでいく必要があるであろう。
日本食品安全検証機構では、HACCP検証ができる人材を養成するためのワークショップを展開している。ワークショップでは以下の3点を主眼に置いている。

  1. 要求項目(基準)を理解する
    HACCPシステムの計画段階、運用段階の内容を理解する。
  2. 検証の基本を理解する
    検証員の心構え、検証の在り方、目的を理解する。
  3. 検証の流れ(準備、実施、フォローアップなど)を理解する
    検証チェックリストの作成、ロールプレイニング、指摘事項の抽出などについて理解する。

日本食品安全検証機構が開発した「HACCPマネジメントシステムの要求事項」に含まれる項目を表3に示した。ワークショップでは、これらの項目について検証するためのポイントについて詳細に解説している。例えば「5.1.4 工程内現状分析」を内部検証する際には、

@法的規制の遵守状況(飼養衛生管理基準、ポジティブリスト制度、鳥インフルエンザの例外措置など、その農場が遵守しなければならない法規制にについて検証することが重要である)
A現状作業を基にした改善(現状作業を基に具体的、かつ現場で活用できる衛生管理がどのように実施されているかどうかを検証し、現場に合わせた改善をすることが重要である)
Bデータ分析を基にした改善(生産指数、肉、卵質数値、クレームなどのデータを最大限に活用することが重要である)―などがポイントになる。

Aについて補則すると、データに基づいて改善することが、現場に最適のHACCPシステムを構築することにつながる。ただ「あら探し」をするだけの内部検証では意味がない。
その現場の良いところを見付けることが重要である(「良いところ」は、「5.1.4 工程内現状分析」の検証することで見つけることができる)。内部検証で得られた「良い点」は、その部署だけではなく、農場全体に広める活動が重要である。また、内部検証で得られた改善点は、現場にとって効果的なものでなければならない。そのため、内部検証員には「現状に合わせた改善提案をする能力」が求められる。

Bについて補則すると、HACCPに取り組んだ経営者の多くが、HACCPに取り組んだ効果として「経営に役立つ紙数(例えば生産指数、肉質など)が向上した」と述べている。自分たちの農場のデータを詳細に収集し、データを根拠として「どのような問題が起きているのか?(あるいは起きる可能性があるのか?)」を把握する。そして、その上でデータに基づいた改善を行うことが大切である。経営に直接的に影響を及ぼす改善を行うことによって、農場にとって真に役立つHACCPシステムになるかのではないだろうか。

日本食品安全検証機構主催のHACCP検証ワークショップは3日間のカリキュラムで行われている。
現場で役立つHACCP検証の“ノウハウ”を、座学とワークショップを通じて身に付けられるようにしている。

(以下省略)

(全文は月刊HACCP月号 2008Vol.14を参照されたい)

■表3 HACCPマネジメントシステムの要求事項(NPO法人日本食品安全検証機構)
1.適用範囲 5.衛生管理システム 6.2危害リスト 7.3.1.2バリデーション
2.引用規格 5.1危害分析の準備 6.2.1危害の因子 7.3.2記録方法の決定(原則7)
3.用語および定義 5.1.1製品の説明 6.2.2危害の要因 7.4教育・訓練
4.経営者の責任 5.1.2原材料・資材の説明 6.2.3発生の原因 7.4.1教育・訓練プログラム
4.1経営者のコミットメント 5.1.3生産プロセスの説明 6.2.4予防の方法 8.評価および改善
4.1衛生管理方針 5.1.4工程内現状作業 6.2.5予防に使用する方法 8.1内部検証
4.1.1衛生管理方針 5.1.5生産環境の説明 6.3運用 8.2消費者または出荷先の満足
4.1.2衛生管理目標 5.1.6日常・定期作業 6.3.1運用計画 8.3データ分析
4.1.3組織 5.2般衛生管理要求事項 7.HACCP計画と運用 8.4特定事項による改善措置
4.1.4責任および権限 5.2.1施設設備の要件 7.1書式A 9.文書に関する要求事項
4.2衛生管理責任者 5.2.2施設設備の保守衛生 7.1.1危害分析 9.1衛生管理マニュアル
4.3内部検証者 5.2.3原材料 7.1.2CCPの決定 9.2文書管理
4.4HACCPチーム 5.2.4 家畜生産物の取扱い 7.2書式B 9.3記録管理
4.5内部コミュニケーション 5.2.5家畜生産物の運搬 7.2.1許容限界の決定(原則3)  
4.6衛生管理の見直し 5.2.6出荷先への情報 7.2.2監視・測定方法の決定(原則4)  
4.7資源の提供と管理 5.2.7従事者の衛生 7.2.3是正措置の決定(原則5)  
4.7.1人的資源 5.2.8従事者の教育訓練 7.3書式C  
4.7.2従事者の力量 6.危害分析 7.3.1検証方法の決定(原則6)  
4.7.3設備機器 6.1危害分析IDX 7.3.1.1ベリフィケーション  

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